漫画を濃くレビュー・感想・考察

『カメレオン』の感想・レビュー

      2018/12/27

最弱ヤンキーが強運だけでのし上がる、成り上がりサクセスストーリー。その運は実は凶運だったりする…

■巻数

47巻 完結

■作者

加瀬あつし

■紹介

主人公、矢沢栄作は高校入学と同時にヤンキーデビュー。中学の頃は同級生にイジメられキャラで、身長も低く、顔もブサイク、腕力も無い、そんな彼がヤンキーとしてのし上がるために、ハッタリと運だけで数々の修羅場をくぐり抜けていく。そんな彼の勇姿や武勇伝に惹かれた(騙された?)不良達が徐々に仲間になり、矢沢は不良のカリスマになっていく。

■感想

90年代にマガジンで連載されていたヤンキー漫画。連載開始当初はまだ80年代の不良文化が残っており、マガジンだけではなく他の少年誌でもヤンキー漫画が幅をきかせていた。90年代も後半になると不良少年達はチーマー、ギャングなどに変貌していき、この漫画も途中からそのような類のキャラがチラホラ登場するが、主役達は最後までヤンキーキャラのままだった。

ふと思い出して数巻読んでみたけれど、この漫画をレビューするか正直迷った。もう20年も前の漫画だし、何よりこの漫画はかなり………下品なのだ(笑)。下ネタ、汚物ネタが満載で、くだらないけど笑ってしまうダジャレやギャグのオンパレード。主人公は少年誌に残る?最低のクズで、自分が助かるために仲間も平気で利用するし見殺しにする。常に女とヤることばかり考えていて、毎晩猿のようにオナニーしまくっている。超非力なので喧嘩になると何もできないが、ラッキーヒットで強敵を倒し、周りから強いと勘違いされる。例えば・・・

隙を見て逃げようとする

つまずく

たまたま喧嘩相手にパンチが当たる

相手がたまたまあった物にぶつかって失神する

「あの◯◯を一発で倒しやがった!タダもんじゃねー!」

といった具合に。このパターンが1巻から最終巻まで続く。ほんと毎回このパターン。この同じパターンで47巻まで続くことが出来た理由はヤザワ以外のキャラの存在だろう。ヤザワ以外のキャラは一般的な常識や仲間を大事にする想い、自己犠牲の精神などを持ち合わせているものが多く、顔もイケメンであるなど、非常に魅力的に描かれている。

そしてこの漫画には主人公とその他の登場キャラ達の少々変わった相関関係がある。毎回長編の話ごとに新たな敵キャラが出てきて、必ず修羅場(喧嘩)になる。周りのキャラは全員その修羅場に正面からぶつかっているが、ヤザワだけがその場を冷静に分析してなんとか自分だけが助かる方法を模索している。狂言回しとも違う、不思議な立ち位置だ。一人だけアホみたいな想像をすることによりシリアスな場面なのに読者は笑ってしまうという奇妙な状態になる。が、シリアスな話はそれはそれで感動も出来ないこともない。おそらく、読者は自然とヤザワとその他のキャラを切り離して読むのだと思う。良い意味で捉えれば、二重の楽しみ方が出来るとも取れる。

一般的に主人公は基本的にヒーローであることがほとんどで、それは読者に感情移入しやすくするためだと思っている。ヤザワは主人公でありながらヒーロー的要素が皆無であり、人間の欲の部分だけを最大限に表した言わば欲の権化とも言えるキャラだ。ヤザワに嫌悪感を抱く読者は少なく無いだろう。しかし、このヤザワこそ、人間の心の奥底にある真実の部分なのかもしれ無い。(作者はそこまで考えて無いだろうけどw)

また、この漫画にはダジャレやパロディが多いのも特徴で、しかもその一つ一つに笑いのセンスを感じる。故にギャグ漫画として位置付けられても良さそうだが、反面度を越した暴力シーンも多く、読書中不快に思うことも多々ある。ヤンキー漫画はどうしても“いかにアブナイ奴か”を表現する為にあり得ないバイオレンスを描いてしまいがちだが、実際人間というのは一発殴っただけで死んでしまう可能性は十分にある生き物だ。こういう漫画に出てくる暴力行為をそのまま現実で実行したら、簡単に相手を殺してしまうので絶対に真似してはいけませんよ(これ本当に)。 娯楽として捉えるのであれば問題がないが、影響を受けやすい世代には不向き。 それ以前に女性と子どもには全力でお勧めでき無い。

 

 

 

■こんな人におススメ・・・ 

  • おバカなヤンキー漫画が読みたい
  • 下ネタ全開なギャグ大歓迎
  • シリアスな喧嘩シーンもみたい
  • 女性と子ども以外

 

 

 

 

 

 

■ここからネタバレ含むレビュー

 

 

 

 

世代的には私より少し上なんだけど、兄弟がマガジンを読んでいたので私も毎週読んでいた。こんな漫画、女子中学生が読むもんじゃない(断っておくが、私は真面目な学生だった)。でも、面白かった。不良美化、暴力美化はいただけないが単純に話が面白かった。過激な暴力シーンはある程度飛ばし読みしてたのでどちらかというと、エピソードとエピソードの間にある読み切りを好んで読んでいた。

特に松岡と純菜の話。おそらくカメレオンの女性読者はみんなここがツボった所じゃないかな。ヤザワとヒカル、椎名とチカを除けば、主要キャラの恋愛はあっても簡単にしか描かれないカメレオンだが、松岡&純菜は出会いから結婚までのプラトニックな純愛話が何度か展開された。

純菜、兄(直樹)と2人で松戸に買い物に出かけた先で松岡に初めて会う。兄と喧嘩になりそうな雰囲気になった所で松岡をビンタ。

松岡、純菜に生徒手帳を返しに来る(?)純菜が安い魚を値切っている所に、一番高い車エビを買ってやろうとしたら純菜に切れられて松岡タジタジ。「アタシの男らしさを少しは見習え!」松岡、返しそびれた生徒手帳から写真だけ剥がして御守りに入れて立ち去る。


松岡と鉢屋がモメる。松岡、バイクで爆走中に純菜を轢きそうになり避けて大怪我する。ここで再開。


松戸にCDを買いに行った純菜。偶然バイクで通りかかった松岡が純菜が落としたCDを轢いてしまう。純菜のCD探しに付き合う。純菜、松岡を意識し始める。後日デートする約束をしたが、松岡喧嘩に巻き込まれ来れずすれ違う。


蜂屋が純菜に惚れるが「松岡くんが好きなの」に撃沈。純菜は松岡に気持ちを伝えるために松戸へ。ヤンキーに絡まれてる所に松岡が助けに来る。松岡が自分の写真を大事に持っていることを知り、自分からの告白はしないようにする。


松岡卒業後、仲間とマッドスピード設立。純菜、忙しい松岡とまたすれ違いそうになるが、結局松岡が寝たふりしながら告白。

カメレオン

すれ違いそうに・・・

カメレオン

この松岡の髪型、萌える~!

カメレオン

出会ってから2年ついに告白。


付き合うことになり海に行く約束するも松岡の仕事の都合で行けなくなる。仕事で煮詰まってる時に無理やり海に連れて行く純菜。ふたりでアメリカ行きの夢を語り初?キス。

カメレオン

初キス?


プリクラでキス写真を撮る瞬間をヤザワに見られ、相沢にバラされる。が、相沢は既に気づいていて渋々認める。同時期に松岡の会社がやばくなり、松岡最後の賭けとして渡米を決意。一度は純菜と別れを決意するも空港に来たウエディングドレス姿の純菜と結婚を決意し一緒に渡米。

カメレオン

松岡がかわいすぎる

カメレオン

「くれよ妹」

カメレオン

これはさすがに漫画w


一時帰国の時に純菜妊娠中

(なんとなくまとめ。こんな感じですかね?全巻揃ってないので画像少なくてすみません。)

この2人の話には基本的にヤザワもほぼ出てこないし、激しいバイオレンスもなく2人のピュアな恋バナになるので安心して読めた。狂犬松岡がジュンナの前だけは不器用な奥手男子になるとこが…萌えすぎる!!この2人の話は人気があったようで、長編の間に何度も登場した。まぁ、松岡が人気キャラランキングで常にトップだったのはこの恋愛編のおかげだろう。

作者はこのように脇役に存在感と魅力を持たせるのが上手い。カメレオンは主人公がヤザワでありながら、周りのキャラを軽く扱わないのである種の群集劇とも言える。脇役達にスポットを当てた話は面白いのが多かった。関係ないけど、2人の子どもも見たかったな~。

この作者はカメレオンの後にも何作か漫画を描いているが、それなりに長編になるので読者からの人気も少なからず得ているのだろう。ギャグは下品だが言い回しが秀逸で知的センスも感じ取れる。カメレオンの内容から誤解されそうだが、作者の出身校の偏差値は決して低くはない。(ただ、漫画を描くことは好きではないようで、絵も切り貼りの使いまわしが多く、連載中は休載もかなり多かった。) 画も決して下手じゃない。ギャグの為、わざと大袈裟に書くことが多いが、美人の描き方などは本当にうまい。 oz結成、結城直人、爆妖鬼、の辺りは好きじゃないので飛ばし読み。東大受験編?辺りから惰性で続けた感が否めないが…最後はまぁうまくまとめて終わらせたと思う。 また5年くらいしたらふと読みたくなるかも・・・。

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