漫画を濃くレビュー・感想・考察

『グラゼニ』の感想・レビュー

      2018/12/27

努力、根性、汗、涙 よりも 「金」

■ 巻数

2015年9月8日現在 全17巻 東京ドーム編既刊3巻~

 

■ 作者

アダチケイジ、森高夕次

■ 紹介

主人公凡田夏之介はドラフト最下位でプロ入りした左腕の中継ぎ投手。年棒はプロ8年目としては少なめな1800万円。彼は自分より年棒の低い相手には自信満々に投げ、高い相手には萎縮して打たれてしまう…。常に頭の中で「今シーズンは○試合出たしな~、こういう活躍もしたしな~、次の年棒は○円はいくはずだ!」と電卓を弾いているというなんとも肝っ玉の小さい男。 年棒○億!女子アナと結婚!なんて派手な印象の野球選手だが、それはカースト制度の一番上のほんの一握りの人たちだけ。その裏ではいつ「プロ野球株式会社」からクビを宣告されるか、ビクビクしながら練習に励む選手達が沢山いるのだ!そんなプロ野球選手達を様々な角度から描く異色の作品。

■ 感想

ジャンルは一応『野球』。野球は野球でもプロ野球。しかも話の軸は『金』。本屋で面陳列されていたので買ってみた。正直画は上手くないし、テンポも淡々としていて、最初は「ふーん。プロ野球ってこんななんだ。」程度の感想しか持たなかったが、今となってはどっぷりハマっている(笑)。その一番の理由は私の旦那ハン。彼は野球大好きで、ニュースは興味ないくせに野球(等のスポーツ)ニュースは欠かさずチェックしている。野球の事はじぇーんじぇん知らなかった私としては彼が「誰誰のフォークはすげぇ!」とか言っても何がすごいのか良くわからなかった。でも、この漫画のおかげで私の野球偏差値は一気に上昇。今でもそこまで詳しくはないが、旦那ハンと野球を見ていてもそれなりに楽しめるくらいにはなった。年棒の事だけではなく野球の戦術や駆け引き、プロ野球の常識みたいなものが詳しく語られるので野球に興味の無い人には新しい世界を知る良いキッカケにもなるだろう。

また、なんといっても主人公は『プロ』つまり『社会人』。プロ野球選手といえどもお給料を頂くサラリーマンに変わりは無い。常にお金の事ばかり考えて野球をやってるって、若い球児達には読ませたくないが(笑)一度でも社会に出た者なら共感できるだろう。しかし、いつクビになってもおかしくない世界は、一般企業に勤める社会人よりも遥かにシビアだ。特にこの漫画を読んでいると「下手なプロ野球選手なら公務員の方がマシかもしれない。」と言いたくなってしまう。そんな超リアリティある野球漫画。大人な貴方には是非オススメ。 あ、ちなみにグラゼニは「グラウンドにはゼニが埋まっている」を略した造語らしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■こんな人にオススメ・・・

  • 日々仕事を頑張るサラリーマン
  • 野球が好き
  • 野球は知らないが興味ある
  • 華やかなプロの世界だけではなく、その舞台裏の知りたい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■ここからネタバレ含むレビュー↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

単なる『変わった野球漫画』だと思って読んでいたが、登場人物が増えて、上手い具合に夏之介に絡んで来て話が広がっていき、徐々に引き込まれていった。この漫画のスゴイ所は、数多くの登場人物一人ひとりのキャラクター設定が確立されていて一貫性があること。先に名前だけ出てだいぶ後になって顔が出てきたりする。テラさんなんて実は第一話に出てきてるし(笑)。後からつけたしつけたしのように新キャラ出してきた挙句辻褄が合わなくなってしまうようなことがない。

私が特に好きなのは高校生の頃の夏之介の話、ナッツ編。やっぱりシーズン通して試合をするプロと違い、負けたら終わりの高校野球の方が青春ドラマがある。最初からナッツ=夏之介とはいわず、でも隠すわけでもなく、現在のニッシーとの関係なども絶妙なタイミングで出てきた。話の展開が上手い。ニッシーが自分とナッツの差(アマ止まりとプロに行ける差)を悟ってから、ナッツを何としてでもプロに行かせようとする後輩想いのアニキ分に変わるんだけど、そのニッシーの生き方がカッコイイ。

グラゼニ
このレーザービームのページはなぜか感動(笑)。夏之介がニッシーから結婚報告を受けて、ニッシーのお嫁さんに「この人はイザって時には一番頼れるアニキです」と言った時も、共に部活で頑張ってきた先輩後輩の強い絆ってモンを感じた。いいな、こういう関係羨ましい。

ユキちゃんとの恋バナも結構好き。初登場の時、夏之介が耳をダンボにしてユキちゃんの会話を聞きながらクネクネしてるとこなんてキモくて萌えた(笑)。また、それまで見向きもしなかった男がプロ野球選手だと知った途端に興味を持つ所なんて、「この作者は女というものをよくわかってらっしゃる」と思ってしまった(笑)。味平のおかみさんも昨今すっかり見なくなったおせっかいオバサンとして良い味出してる。後、意外とセキネ女史もお気に入り。

嫌いな話はメジャーのとこ。メジャー移籍の裏側が知れたのは良かったけど、夏之介がマイナー契約されちた話は流石に胃痛が。。。その後モップス(巨人)に入ったのはちょっと驚いたけど、一安心。スパイダース(スワローズ)とは全然カラーが違う読売巨人軍の内側の話はこれまた興味深い。でも、東京ドーム編の3巻現在、なんだかまた話が微妙な方向に・・・?

 

ナッツ編もそろそろ続きを書いて欲しいな~。

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