『ハイスコアガール』の感想・レビュー
2018/12/27
恋愛に『待ちガイル』なんてねーんだぞっ!
■巻数
既刊5巻(2015年10月13日現在、連載休止中)
■作者
押切蓮介
■紹介
1991年、ソ連が崩壊するなど世界が激動の時代だった頃、日本ではゲーム業界に激震が走っていた。それまでのゲームとは全く違った新たなゲームがゲーセンを席巻していたのである。その名も『ストリートファイターII』通称ストII。ゲームの中のキャラを自分の意のままに動かすことができ、コマンド入力により技を繰り出して(CPU戦もあるが)他のプレイヤーと戦うという斬新な内容で、所謂「格ゲー」ブームの火付け役になり、多くのファンを取り込んだ。 主人公 矢口ハルオ はゲーム好きの小学6年生。禁止されている盛り場(=ゲーセン)に入り浸り、毎日ゲーム三昧の生活をしていた。劣等生の彼だが、唯一ゲームの腕だけは誰にも負けず特に「ストII」は自身の最も得意とするゲームだった。ところが、ある日同じ対戦相手に連敗し、その相手がなんとクラスメートのお嬢様 大野晶 だったことに驚愕する。初めは自分の聖域を犯す存在として晶を嫌っていたハルオだったが、ゲームに対する姿勢や技術の高さ等から徐々に仲良くなり、いつの間にか同士、ライバル、そして「かけがえのない存在」になっていく・・・。
■感想
私は主人公ハルオと私は同年代。実は私もやってたストII。ハルオほど燃えてなかったけど、クラスの男子に交じって駄菓子屋で何度かプレイしていた。それまでゲームといえば「ファミコン」や「スーファミ」のことでみんな学校帰りに誰かの家に寄って遊ぶのが定番のスタイルだったが、ストIIの登場でアーケードのゲーム機で遊ぶようになった。当時のストIIブームは凄まじく、埃が被ったプラモの箱が積まれているようなおもちゃ屋にも、ストIIのゲーム筐体が置かれており、ガキ共がこぞって画面の中の戦いに見入っていた。ゲーム機はなんとディズニーランドにもあったんですよこれが・・・。
いたいた“待ちガイル”やってたやつ。これと投げハメをやると次の日から学校で卑怯者の烙印を押されるw
本作ではストIIをはじめ、当時流行した様々なゲームが登場する。と同時に当時の流行語やテレビのネタなども満載。
さりげなく『Let’sらGo』
懐かしすぐる
読み始めた頃は単にレトロゲームをネタに笑いを取るような漫画なのかと思っていたが。ところが読み進めていくと段々と恋愛要素が強くなっていく。途中から方向転換したというより、最初から恋愛をメインに書く意図があったのではないだろうか。意外と切ないラブストーリー。
私は女子でも比較的ゲームが好きな人間だったが、そうはいっても今でいうゲーマーほどではなかったので、この漫画に出てくるゲームタイトルは半分以上は知らない。それでも十分に楽しめたのは、やはり世代がドンピシャだったからに他ならない。ゲームだけではなく当時の流行なども「あ~あったな~懐かしい~」と遠い目をしながら浸ることができる世代の人ではないと楽しめない可能性大。 画も少々クセがあるので、苦手な人は苦手かも。ちょいちょいくだらないギャグもあるが、鼻につかない程度なのである程度のスルー力のある人は問題ないだろう。
また、本作は2014年に著作権侵害問題・刑事告訴事件の為に休載中(2015年8月24日和解成立)。作中に登場する数々のゲームタイトルの中に無許可で使用したものが含まれていたようで、訴えられてしまった。この漫画自体がスクエアエニックスというゲーム会社から出版されているのも騒ぎが大きくなった原因の一つだろうけど、一番の問題は許可を取った会社と無許可のまま使用した会社があるということ。これって会社の規模によって差別していたことの表れですよね・・・。そりゃ訴えたS会社さんは怒りますよ。しかし、このあたりの著作権問題は微妙な問題で、「そんじゃ、うちもおたくを訴えるわ」と訴訟合戦が起こってしまうのが通例になっている。また、作者はあくまでも芸術家であって、作品は自由に作って良いと思う。これは明らかに出版社の責任。作者は被害者だよ。まぁでも和解成立したので早く連載再開して欲しい。
■こんな人におススメ
- 昭和50~56年生まれくらいで昔ゲームが好きだった人
- 王子様、俺様、イケメン、との恋愛ではなく、普通のクラスメートとの恋愛話が読みたい人
- 青春時代の切ない恋心がたまらない!
- 暗い話は嫌い
■ここからネタバレ含むレビュー
1巻が発売されたころにコンビニで表紙買いしたのがキッカケだったが、年代がドンピシャ過ぎてモロはまりした。私の旦那氏は2歳年下だが、少し世代がずれているようでストIIのネタもそこまでわからずあまりハマらなかった様子。家庭用のゲーム機としてはファミコン、スーファミ、プレステは持っていたが、PCエンジンとかは持っていなかったのでそのあたりのネタはさっぱり。(PCエンジンを持っている人=金持ちor少し変わり者というイメージだった。)また、ストIIターボの辺りから格ゲーも全くやっていないので途中からゲームネタはついていけてない。
そうそう、発売時期がちょうど高校受験とかぶっていた。中3の修学旅行の小遣いとお年玉を貯めて、高校受験終わった直後にプレステ買ってた男子いたな~。
それでもハマった理由は小春ちゃん。かわいくて健気で一途な所がとってもかわいい!!おい、ハルオ!晶ちゃんより小春ちゃんだろ!と言ってやりたいが、、、やっぱタイトルのハイスコアガールはおそらく晶ちゃんのことだと思うので、普通に晶ちゃんとくっついちゃうんだろうな。
かわいいって言っちゃってるもんね。
普通に考えればハルオは最低なクズ男
小春ちゃんがハルオに惹かれる気持ちは結構理解できる。男って恋愛に目覚めるのが遅いから、小学校~中学だとまだまだ幼い印象の人が多い。特に他にのめり込んでいる物、ハルオにとってはゲームだけど、例えばスポーツとかがある人は「女なんかにかまってられっかよ」という人が意外と多かった気がする。そうやって何かに打ち込んでいる男子って女子から見ると魅力的に映るものだ。
まさかの告白。このタイミングでするとは思わなかった。好きな人に全く気付いてもらえず、単なるゲーマー友達にされているのって辛い・・・。ハルオのアホー!
健気過ぎて泣けてくる
愛のパワーはすごい。ゲームに興味がなかったコでさえゲーマーにしてしまう。
ゲーム以外の年代ネタがちょいちょい絡むのも良い(同世代なので・・・)。普通のゲームだけではなく、プリクラとったり、サッポロポテトバーベキュー味を食べたり・・・いちいち懐かしさを感じれるのが良い~!(しつこいけど) それにしてもハルオは少し不健全。中学生になっても高校生になっても女に興味ないとはどういうこと?(笑)私が中学生の時の男子達はみんなエロ本回し読みしてたよ~。 余談だけど・・・
いくらなんでもホテル宿泊はないよね。しかも男子の親がそれを斡旋するなんて・・・。こんなこと現実に起こったら訴えられるレベルw
2018年12月27日追記:
色々ありましたが終わりましたね~。ううううーーーーーんんんん・・・・。最後の最後で小春ちゃんと結ばれたら「やるじゃん」って感じだったんだけどなぁ。最初の頃は急いで走っている時なんかにゲームのキャラやセリフが出てくるのは「クスッ」と笑えたけど、最後の最後まで出てくると・・・しつこいww
出だしが面白かっただけに、本当に惜しい漫画。