漫画を濃くレビュー・感想・考察

『アイアムアヒーロー』(漫画)の感想・レビュー

      2018/12/27

リアリティがない話なのにリアリティがありすぎる、パニックホラーの金字塔!

■巻数

既刊17巻 連載中

■作者

花沢健吾

■紹介

主人公・鈴木英雄は、さえない35歳の漫画家。デビュー作は連載開始後半年で早々に打ち切られ、借金も背負い、アシスタントをしながら再デビューを目指しネームを描いては持ち込む日々が3年を経たが、依然として出版社には相手にされない悶々とした日常を過ごしている。職場の人間関係も上手く行かず、さらに夜になれば何者かが忍び寄る妄想に囚われ、朝方まで眠れぬ生活が続いていた。そんな無為な日常の中の救いは、恋人である黒川徹子の存在。だがその彼女もすでに売れっ子漫画家になった元カレを何かと引き合いに出し、さらには酔うたびに英雄の不甲斐なさをなじる始末。 その一方、社会では2009年のゴールデンウィークシーズンを前にして、不穏な兆候を示す出来事が相次いで起こっていた。全国的に多発する噛み付き事件、町に増えてゆく警官の数、厚労相の入院と入院先での銃撃戦といった報道。英雄も深夜、練馬区石神井公園付近の雑木林で、タクシーに轢かれて両腕と右足が潰れ首が真後ろに折れても運転手に噛み付き奇声を発し立ち去る女性を目撃する。だが、日々の生活で手一杯の英雄らにそれらを気に留める余裕などあるはずもなかった。 そしてある日、そんな日常は思いもよらない形で崩壊を始める。英雄の眼前に繰り広げられるのは、周囲の人々がゾンビのような食人鬼と化す謎の奇病が蔓延、彼らに噛み付かれた者は感染者となり次々と増えて行く悪夢のような光景であった。恋人や仕事仲間も犠牲となり、世界がパニック拡大と秩序崩壊へと覆われるパンデミックの中、英雄は早狩比呂美との出会いを通じ、世界の崩壊から生き延びようとする。(wikipediaより)

■感想

作者は以前レビューした『ルサンチマン』の作者、花沢健吾。

平和だった日常がある日突然パニック状態に・・・。という話は最近の漫画に良くある内容だ。バトルロワイヤル、ドラゴンヘッド、スプライト、神様の言うとおり、前にレビューした魔法少女オブ・ジ・エンドもそうだし、アポカリプスの砦(←内容似てる)などなど、書き出してみると枚挙に暇が無い。1発目にいきなりガツンとした展開を見せて、徐々に謎解きを見せていくというパターンが多い。この漫画も流れは概ね同じだ。1巻はただただ冴えない男の日常がのんべんだらりと描かれているだけで、正直退屈な内容だ。そこから少しずつゾンビ(作中ではZQNと呼ばれる)の発生、感染拡大が明らかになってきて、主人公は運よくするりするりと難を逃れとりあえずZQNにならずにすむ、という内容。

この漫画のすごい所は非日常的な話なのにものすごくリアリティがあるところ。人々がなかなか事態を飲み込めないで愚痴っているシーンなんか容易く想像できる(頭のどこかで平和ボケしている証拠)。また、アイアムアヒーローなんて題名だが、主人公がとる行動はヒーローとは程遠い。そこはヘタレ男を描かせたら右に出るものは居ない作者の真髄が大いに生かされている。 大きいコマ割りが多く、セリフも少なめなので一気に読めてしまう。その分、巻数が進んでもあまり謎が解明されていかないので若干やきもきするのもまた事実。ある日突然パニック系の漫画が好きな人には是非ともオススメしたい漫画。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■こんな人におススメ・・・

  • グロい、エグいが平気な人
  • ウォーキングデッド(米ドラマ)なんかがお気に入り
  • 綺麗な画の漫画が読みたい
  • パニック物大好物

 

 

 

 

 

■ここからネタバレ含むレビュー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長いね、この漫画も。なかなか終わらないし進まない。小田さんが死んだのは「容赦ないな~」と思ったけど、その辺は「24」(米ドラマ)を見ている時と同じような感覚で見てる。もう少しZQNがなんなのか教えてくれてもいいじゃんと思う。さすがに17巻も出てるわけだし。

・・・でも嫌いになれないこの漫画。なんといっても画が綺麗で読みやすい。毎回ハラハラさせられるしそれなりに続きも気になる。 上でも書いたけど、この作者は非現実的な世界にリアリティを演出するのが上手い。ルサンチマンもそうだったけど、現実的に描くのが上手い。特に人の思考や行動、言動等、違和感がなさすぎるくらい日常的だ。 そして、この漫画の表現力がすごい。静的な絵なのにものすごい躍動感がある。

アイアムアヒーロー
まるで写真。静的な画なのに今にも襲ってきそうに見える。

この作者は“動き”を表現するのにスピード線や集中線などを多様しない。スピード線は動的な表現をするのに非常に効果的で、なおかつ楽な手法だ。(横向きになっている人物に横のスピード線を引けば走っているように見える、といった具合に)もちろん使わないわけではないのだけど、背景までしっかり描かれているのでスピード線や集中線は目立たない程度にしか描かれていない。また、人物の身体、顔、指先、髪の毛、服のシワに至るまで手を抜かずにしっかりと動きを表現している。漫画というよりは、一コマ一コマ写実的に描かれた絵のようだ。このような漫画を描ける漫画家は少ない。ただ、顔はちょっと下手だけど。

アイアムアヒーロー
半感染者はみんなこのように見えるのか。

話の内容としては、まだ完結していないので今の時点ではあまり多く語らないようにしようと思っているが、ZQNについて、ひろみやクルス等の半感染者について、変な化け物?について・・・何も予測できない。劇的な最後が待ち受けているのだろうか。続きが気になる。案外、『S・F短編集』の(流血鬼、ていうか元ネタ『アイアムレジェンド』)のようなオチだったりして・・・。

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