漫画を濃くレビュー・感想・考察

『LIAR GAME ライアーゲーム』 (漫画)の感想・レビュー

      2018/12/27

正直者は馬鹿をみる?欲望が渦巻く騙し合いの中で、“真の勝利”とは何かを問う。

■巻数

全19巻完結

■作者

甲斐谷忍

■紹介

周囲から「バカ正直のナオ」と呼ばれるほど、他人を信じやすい女子大生・神崎直。そんな彼女のもとに小包が届けられる。 「LIAR GAMEに参加される場合のみ、この箱をお開けください」という注意書きをよく読みもしないうちに、直は小包を開封してしまう。その中には1億円分の札束がしまわれており、「いかなる手段でもかまいません。対戦相手からマネーを奪ってください」と書かれていた。 こうして直は、謎の組織が主催するゲーム・トーナメント「ライアーゲーム」の第一回戦「1億円争奪ゲーム」に強制的に参加させられることになった。なんとかゲームを降りようとするが、どこに相談してもまともに取り合ってもらえない。やがて、対戦相手が発表されたが、その相手は直の中学時代の恩師、藤沢だった。早速藤沢のもとへ向かった直だったが、藤沢の言葉に惑わされ、まんまと1億円全額騙し取られてしまう。なんとか1億円を取り戻そうと躍起になった直は、出所したばかりの天才詐欺師・秋山深一に助けを求める。(wikipediaより)

■感想

ライアーゲームは一回戦、二回戦、敗者復活戦などでそれぞれ別のゲームがプレイされ、1つのゲームにつき1~3巻分の話のボリュームがある。取り扱われるゲームは一見“運を天に任せる”ように思えるが、実は知識や洞察力、心理的揺さぶり等を駆使して相手を騙し勝利することが出来るという内容になっている。イカサマ、暴力は(ほぼ)ない。ゲーム中に行われる巧みな心理戦は『カイジ』や『デスノート』のそれと同じようなスリルが味わえる。
主人公は二人。一人は心理戦など全く無知で、だまされやすい単純な正確の神埼直(♀)、もう一人は東都大(東大のことだと思われる)心理学部卒、その頭脳で巨大マルチ企業を陥れた天才詐欺師秋山真一(♂)。ライアーゲームに巻き込まれた直が、私だけじゃどうしていいかわからない!友達もみんな信じてくれない!と焦る中で秋山のことを聞き、助けを求めるところから始まる。秋山は出所したばかりで、当初直の話を聞く気もなかったが、徐々にライアーゲームに興味を持ち自発的に参加するようになる(基本的にヤバそうなゲームなのでみんな参加したくない)。

初期の頃の直は本当にウザい!!他人をすぐ信用してすぐ騙される。1度ならず2度も、いや、何度も。それでも懲りずに他人の言うことを鵜呑みにしようとする。読んでいて思わず「この、バカ!!お前みたいな奴が詐欺に引っかかるんだ!!」と言いたくなってしまう。 が、どうかイライラして途中で辞めずに、とりあえず5巻くらいまでは我慢して読んで欲しい。直は単なるストーリーテラーでも男性読者の為のカワイイヒロインでもない。後からその存在意義が出てくる重要なキャラだ。

作者は『ソムリエ』などで知られる甲斐谷忍。画力はあるが描き込まないタイプ。背景の画があまりなく(真っ黒やグラデーションなどが多い)、全体的にノッペリしている。まぁ画で魅せる話ではないので、個人的には気にならない。暴力的な描写はほぼ皆無な上に柔らかく細いタッチなので女性にも読みやすい。(恋愛的要素については・・・読んでのお楽しみ)

 

 

 

 

 

■こんな人におススメ・・・

  • 騙しあい、心理戦、頭脳バトル、大好き
  • 裏の裏のさらに裏があるような展開が好き
  • 文字が多くても気にならない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■ここからネタバレ含むレビュー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は心理戦を見所にしている漫画は大好物なんだけど、ど~もカイジはあまり好きになれなかった(というか福本作品全般あまり好きじゃない・・・ファンの方すみません)。デスノも巧みな心理戦というよりはピンチに陥る→うまく交わすというパターンなのでそれもイマイチ。噓喰い・・・面白いかなぁ・・・?バトルがよくわからん。

ライアーゲームは将棋のように、出だしはまだ良くわからず様子見して途中から詰みまでを全て読みきる、という流れになっているのが良かった。だから途中「どう考えてもこのままじゃ負けちゃうじゃん?」と思わされ、最後に「あ~その手があったのね!」とゲームの盲点を突くような(イカサマではない)やり方に、知恵の輪が解けた時のような爽快感があった。 作中多くの心理学用語が登場し、プチお勉強になるのも良かった。

ライアーゲーム

ギャンブラーの誤謬」 確率は毎回同じなのに、偏った結果が続くと自分の主観で次の予測が歪められてしまうこと。 (例:裏、裏、裏と続くと次は表だ!と思ってしまう)

ライアーゲーム

返報性の心理(原理)」 例えば高額な商品を勧められて断った後に、低額の商品を勧められると断りづらい・・・といった心理。「相手が譲歩したからこちらも譲歩しなければ」と思ってしまう心理らしい。

ライアーゲーム

囚人のジレンマ」 お互い協力する方が協力しないよりもよい結果になることが分かっていても、協力しない者が利益を得る状況では互いに協力しなくなる、というジレンマである。(wikipedia)

ライアーゲーム

認知的不協和」 自分の行動や意志と矛盾する事実を突きつけられると、新たな事実を探してその矛盾を解消しようとするという思考。 などなど・・・。詐欺師はこれらの心理学を巧みに利用しているらしい。いやー怖い怖い。 余談だがこのクリフジというLG側の女性は途中あれだけの存在感を示したのにぱっと消えてついに最後まで出てこなかった。ニセ弁護士も途中から消えた。「実は~」というネタバラシを期待していたんだけどな。

面白いほどよくわかる!心理学の本 -
面白いほどよくわかる!心理学の本 –

 

さて、この漫画の肝は「ゲームにいかにして勝つか」ということではない。それは神埼直が身を持って証明している。

ライアーゲーム

強欲で一番騙せるヤツが一番強いのではなく、無欲で正直でいられるものが実は最強であるという主張。これはなかなか興味深い。確かに、誰も信用できない場所で絶対に噓をつかないという存在はかなりの強みだ(確定要素だから)。 直は秋山がいなければ生き残れなかったけど、秋山もまた直という武器がいなければ決勝まで勝ち進むことはできなかっただろう。100%の正直者と天才詐欺師が組めば怖いものはない。 また、秋山が他人を信じることができなくなっていた時に直と出会い、「信じる気持ち」を取り戻していくという人間的成長という側面もあった。

ライアーゲーム

と、同時に直の成長物語でもある。秋山とは逆に直は全く他人を疑うことをしなかった。が、それは同時に他人と深く関わろうとすることを放棄しているだけだったということに気付かされる。直は他人を疑う=他人を良く洞察し理解することを学ぶ。 ライアーゲームを通して他人とのコミュニケーションについてお互い学んだのだった。

 

私が個人的に一番面白かったゲームは『密輸ゲーム』。勝負に負けてATMの残額で稼ぐことが真の勝利という図式が面白かった。宿敵ヨコヤが登場したのもこのゲームからだった。途中、ヨコヤの策略で南の国のバカ三人が金を自分達の口座にいれてしまった時、秋山が「本当はいれてない」と“噓”を付いて北の国の三人を味方につけるくだりは読んでいて本当にハラハラした。私だったら堂々とあんな噓つけないだろうな・・・絶対ボロが出る・・・。

他にも感染ゲームやイス取りゲーム、入札ポーカーも良かった。 そんなライアーゲームもようやく完結。最後は秋山の思惑通りLG事務局を陥れるて負けを認めさせるという結果に終わった。

ライアーゲーム

秋山や神埼を負かしてやる!!負かして・・・そして・・・どうなる? ヨコヤが自問自答してまさかの改心(?)。秋山の策略で永遠に決着が付かないような状況になってしまった決勝戦のゲーム、LGのスタッフも苛立ち始めた頃にヨコヤが(下っ端の方の)仮面の男を丸め込んでデブ達をモニタールームに進入させてシステムを破壊させた。

ライアーゲーム

LG事務局のボスが敗北を宣言。これによりプレイヤー達は全員借金無しで開放された。 んで、このボスがLGのことを長々と話し始めるのだが、要はこのLGはヨコヤが言っていた通りどっかの国の小説が元になっている。しかしその小説の下巻は政府の弾圧により未発売になっている。しかも作者は既に亡くなっている(殺された?)。

(つまりヨコヤは「結末を知っている」と噓をついていたということ?というか、上・中しかない小説なんか良く読む気になったな・・・。)

友人からその話を聞いた某映画監督が実際にLGを開催し、ドキュメンタリーベースの映画を制作してみようという事になった。その監督はLGを通して、小説の下巻に何が書かれていたのか知りたかったのだ。 その映画監督こそが、↑の画像の男。その名もタッド・ミヤギ(なんだか日系人ぽい名前)。20年ほど前に同じようにLGTを主催して映画を撮り続けたが途中監督の友人が何者かに暗殺されお蔵入りに。(その友人は小説の作者の友人)脅迫と共に50億もの口止め料が送られてくる。監督はその金を持って逃亡。 そして約20年後、当時のプレイヤー達をディーラーとして1億で雇い再度ライアーゲームを開催する。このライアーゲームを通して為政者は「信じる力」を恐れていたのだとわかった。

そしてこの仮面の男はプレイヤーに問う 「この動画を世界に公開してもいいか?」 最速手を上げたのはなんとヨコヤだった。ヨコヤに続き全員が了承した。 んで、動画公開当日、直の家を訪れていたフクナガが一緒に動画サイトを見ていると突然削除されてしまう。直が秋山に電話をすると・・・

ライアーゲーム

 

 

 

 

ライアーゲーム・完

 

 

 

ぇぇぇえええぇぇぇええぇぇえぇぇ??

 

 

こんな終わり方なのでネット上では当然打ち切り説が・・・。でもこれって打ち切りじゃなくて作者から辞めたんじゃないのかな?もう最後の方はやっつけ仕事っぽかったというか・・・。

 

 

休載の多い漫画家ってなーんか編集部と揉めてるイメージがあるんだよね。案外、「闇の権力者」=出版社というメタファーだったりして(笑) ちなみに絵柄の仮面の男達の正体は・・・

 

 

ライアーゲーム

ヨコヤパパ

ライアーゲーム

秋山の恩師

ライアーゲーム

これは直パパ

 

つまり、LGTはコミュ症の困ったチャン達にLGを通して社会性を学ばせるという目的もあった!のかもしれない・・・(笑)

 

最後に、女性読者なら秋山x直のLoveな展開も期待していたかもしれないが・・・

 

ライアーゲーム

 

 

 

 

これだけ。これ以上はどうなったのか何も書かれてない。ちょっと残念。

 

 

そんなことより、

 

 

ライアーゲーム

 

19巻のこの絵は一体・・・・・・・・・・・・

 

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