漫画を濃くレビュー・感想・考察

『ライフ』(漫画)の感想・レビュー

      2018/12/27

追いつめられた人間は、強く生きるしかない。私は負けない。

■巻数

既刊20巻完結

■作者

すえのぶけいこ

 

■紹介

椎葉歩は受験を控えた中学三年生。成績優秀だった親友と同じ志望校に合格すべく、猛勉強した結果見事に合格を果たした。が、成績が逆転された挙句志望校に落ちてしまった親友に絶縁されてしまう。ショックのあまりカッターで体に傷をつけると心が落ち着いたことから、リストカット癖がついてしまう。新しい高校でも周りに馴染めず、浮いていた。ところが、そんな歩に声をかけてくれた安西愛海に声をかけられ、そのグループに入れてもらうことができた。当初愛海と仲良くしていた歩だが、愛海の彼氏をめぐる勘違いにより愛海とそのグループの女子達からいじめを受けるようになってしまう。繰り返されるいじめに絶望する歩だが、孤高の人であった羽鳥未来と仲良くなり、真の友情を築いていく・・・。

■感想

北乃きい主演でドラマ化もされた。相当な反響があったようで、特に同世代からは熱く支持されたようだ。ドラマも良くできていたと思う。大筋は原作に沿った内容だった(ラスト以外)。 いじめシーンはかなり過酷で、目を逸らしたくなるほど。しかし終始強いメッセージ性があり、作者の意気込みを感じた。 いじめを題材にした漫画は他にも読んだことがあるが、『漫画』というエンターテイメント性をほぼ排除して『ドキュメンタリー』タッチな問題提起作になっているものが殆ど。いじめは酷いよ~、他人を傷つけるよ~、やっちゃだめだよ~、、、ってんなことわかっとるわ!と言いたくなる。

本作はいじめを題材にしながら、その演出が素晴らしくエンターテイメント性も確りとある。 漫画(=非現実)故に、かなーり過剰な演出も多くある。「いやいや、さすがにここまではやらんでしょー」と思うような陰湿ないじめもあるが、たまに流れてくるいじめ自殺のニュース等を見ていると、案外このようないじめは様々な場所で起こっているのかもしれない。 が、読了後の後味は決して悪くない。 画は少々雑な所があるが総じて綺麗。大きいコマが多いのでぱっぱと読み終わってしまう。セリフも少なめで読みやすいが、やや雑な印象も受けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■こんな人におススメ・・・

  • 重いテーマだが現実にある社会問題に向き合いたい
  • 文字が少ないほうが良い
  • 成長する主人公を見たい
  • 真の友情の話が読みたい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■ここからネタバレ含むレビュー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いじめには強く立ち向かわなければならない!なんて言ってしまうと、多くの人は無理だと思う。批判の多くは「いじめられたら逃げちゃいけないの!?追い詰めないで!」という心の叫びが基となっているのだろう。そのような理由と過激な描写が相まって、批判も多い作品だとは思うが、そのような批判が来ることも覚悟の上であえていじめ問題を真正面から描くのはなかなか勇気がいることだったのではないだろうか。

ただ、個人的な意見を述べれば、作者は何も「いじめから逃げるな、戦え」と主張しているわけではないと思う。ただ「夫々が現実から目を逸らすな」と言いたいだけだ。 針を飲ませようとしたり、工場でレイプさせようとしたり、病院の窓から(ヒロを)落そうとしたり・・・いくらなんでも非現実的すぎるよ・・・。と思ったが、実際にいじめの最中に死亡してしまったというニュースを聞くと現実のいじめもエスカレートすると歯止めが利かなくなるのかもしれない。「漫画だから」で終わって欲しくないが故に敢えて過激な表現を用いたのかも。 愛海のキャラは少し作られ過ぎているけど、愛海の取り巻きやその他のクラスメートの描写はリアルで上手いと思った。愛美の取り巻き達は、「友達の彼氏を奪おうとした最低女」である歩に、正義の鉄槌を下そうとしているだけで、愛海のように二面性を持っているわけでもなく、ただただ友達の為にその友情を行為で示そう(つまりいじめ)としている。ギャラリーであるその他の生徒達は事実関係もよくわからないまま「椎葉がなんか悪いことしたんだろ」と勝手に納得してしまう。ところが愛海の異常さに気付いた人間が一人、また一人と愛海から離れていくと、今度は多数派が逆転したところで、残りの人間も全て反安西愛海に回ってしまった。その反動は大きく、全生徒一丸となって公開処刑。いやぁ、恐ろしい。安西愛海という存在がいなかったら、(歩はぼっちのままかもしれなかったけど)いじめは起らなかったように思う。

みんな普通の遊びたい盛りの普通の高校生だっただろう。長いものには巻かれろなのか、触らぬ神に祟りなしなのかは知らないが、人は容易に多数派に同調してしまうという集団心理が巧妙に描かれていると思った。 漫画としては、物語の開始~いじめエスカレート辺りまではやや現実離れした内容もあったものの、リアリティがあってよかったのだが、途中から愛海がバケモノ化してきて(笑)若干引いた。

 

怖すぎる・・・ ライフ

 

ライフ

呪怨?つーか、これわざわざ椅子とか持ってこないと無理でしょ。

ライフ

砂場に頭から突っ込む愛海。何がしたいんだ、何が・・・

前半はスピード感があってよかったのだが、後半だらだらとして来て、工場でのレイプ未遂事件の後からはもっと短縮できたのではないかと思った。 後、激昂した時にヒステリックな行動に出るのも(未来が愛海をプールに突き落したり、愛海が砂場にダイブしたり、ガラスを割ったり・・・)回数が多いと少し萎えてしまう。あまり同じ手法を繰り返し使用しない方が良いのではと個人的に思った。

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