漫画を濃くレビュー・感想・考察

『聖☆おにいさん』の感想・レビュー

      2018/12/27

ゆる~い“聖人”ギャグ漫画

■巻数

既刊11巻 連載中

■作者

中村光

■紹介

仏教の祖ブッダとキリスト教の祖イエスは休暇をとって下界(東京都立川市)で安アパートを借りて暮らすことにした。ブッダは主婦のように節約し、イエスは若干天然入りながら奔放に暮らす。下界で様々なことを体験しながら彼らの感覚とのギャップや宗教ネタで笑いを取るギャグ漫画である。 世界三大宗教と言えば「キリスト教、仏教、イスラム教」であるが、イスラム教は偶像崇拝禁止の上かなーり過激な人達がいるので「触らぬ神」にしたのだろう。

漫画は一話完結型で毎度毎度ゆる~い日常生活の中で一発ギャグのようなネタがひたすら繰り返されるという内容だ。しかしそのネタの殆どが宗教ネタという点が斬新なアイディアだった。 例えば漫画の冒頭、ブッダが畳の上で昼寝をしている。そこに様々な種類の鳥が(心配して?)寄ってくる。と、ブッダは起き上がり「違う!大丈夫!涅槃じゃないから!」と言う。涅槃とは要は聖人が死ぬという意味の仏教用語だ。涅槃という言葉を知らない読者は少なくないだろうが、この漫画では敢えて多くの人が知らないだろう宗教用語や神話等を日常会話の中にバンバン登場させる。ある程度ブッダやイエスキリストの話を知っている人であればそのまま素で笑えるし、知らない人も後から調べて「あ、これが元ネタね」と知ることができる。

また、聖人二人は下界のこと(というか日本のこと)をよく知らずに来たという設定なので、日本の流行物や変な習慣等を別の物と勘違いしたり、驚いたりする。訪日する外国人観光客がカルチャーショックを受けるのと同じような感覚だ。そこで笑える人は笑える。笑えない人は笑えない。評価が真っ二つに分かれそうな漫画だ。読んだことがない人は1巻だけ試し読みしてみるといい。1巻で全く笑えなければその後は買わない方が良い。

 

 

 

 

 

 

 

 

■こんな人におススメ・・・

・ゆるいギャグ漫画が読みたい

・2chネタ、ネットのサブカルネタなどややオタク寄りの話に理解がある

・仏教やキリスト教の歴史に明るい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■ここからネタバレ含むレビュー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の友人の間でも好き嫌いがものすごく分かれた。ちなみに私は嫌いではない。腹を抱えて苦しくなるまで笑うようなネタは一つもなかったけれど、重~い暗~い漫画を読んで気分的に寝れなくなってしまった時なんかにこの漫画を読むと安心して寝れたりする(神のご加護か・・・)。私はどちらの宗教の信者ではないので歴史や神話等について詳しくは知らないが、ブッダの弟子や天使、彼らの親族についてくらいの知識はあったので読んでいてそれなりに楽しめた。

聖☆おにいさん

よく考えるとかなりシュールなギャグ・・・

聖☆おにいさん

かなりギリギリなネタ・・・

面白いのは海外の反応。英語のレビューサイトを少し読んだけど・・・

「『ジョニー・デップに似てる』のコマで大爆笑しちゃったわ!おお、主よ、お許しください!」

「皆さんに質問です。まだこの漫画を読んでいません。私は敬虔なクリスチャンなのでイエス様が冒涜されているのかと心配して、怖くて読めません。日本の漫画が大好きなのですが・・・」

(上の質問に対する答え)「冒涜などされていませんよ!イエス様は大変慈悲深く、ブッダと争うこともありません!そもそも争いは出てきません。楽しく読めます:D おススメです!」

などなど、無宗教徒が多い日本人とは違う意見や感想が多かったが意外とポジティブに受け入れられているようだ。本作を読んだ直後に思ったことは「こりゃ輸出できないな。特にキリスト教徒の国は。」であったが、第一に翻訳出版されたのがフランスだったそう・・・すごい勇気だな。その他の国は良く知らないのだけど、仏教とが多いタイとかアメリカとかはどうなんだろう。アメリカは即訴訟起こされそうだ。

さて、エンターテイメントの側面からこの漫画を見てどうだろう。正直傑作とは言えない。今まで漫画のネタにすることはタブーだった所に突っ込んだことは称賛に値するが、ストーリー性もほぼゼロだし、純粋にギャグマンガとしてみてもまだまだ弱い(ちなみに私はギャグマンガに厳しい)。宗教ネタだけではなく現代のネットやオタク文化を融合させるのは良いが、ただ”それだけ”になってしまっている。 でも、不思議な事に嫌いじゃないんだな。新刊出ると買ってしまう。なぜだろう・・・。やはり神の力なのか・・・。

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