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『砂の薔薇 デザート・ローズ』の感想・レビュー

      2018/12/27

アマゾネス達の息を呑む白兵戦と限界ギリギリのハードアクション!

■巻数

既巻15巻 完結

■作者

新谷かおる

■紹介

主人公、真理子・ローズバンクは日本人だが国際結婚により国籍を変えたアメリカ人。美しく聡明な彼女の職業は、対テロ専門軍事スペシャリストの1ユニットを任されるリーダー。任務があればジャングルの奥地でも紛争地域でもどこでも行き、テロリストと戦う。通称ローズ(薔薇の)マリー。普通の主婦だったマリーがなぜ対テロ組織に入ったのか、それは彼女の悲しい過去が原因だった。

砂の薔薇

■感想

エリア88で有名な新谷かおるの作品で、エリア88より知名度は下がるが個人的にはこちらの方が好み。↑の紹介文を読むととてもシリアスな内容に思えるが、ギャグや豪快なお色気シーンも多い。 CAT(カウンターアタックテロリズム)という民間の対テロの傭兵組織に所属する1つの部隊が、毎回作戦を遂行したり、突然巻き込まれた事件を解決したりする。1エピソード(2~13話)読切完結型。 今となっては当たり前のように知られている“テロ”だが、当時テロを題材に扱った漫画(しかも日本人による)はかなり珍しかったと思う。私が初めてこの漫画を読んだのは15年前で、ちょうど911同時多発テロが起こった頃だった。それよりも10年以上前に連載が始まっているので、いろんな意味で時代を先読みした作品だろう。

砂の薔薇

現代中東で戦う軍隊における民間の軍事会社の割合は年々増えているらしいとか・・・

舞台は基本的にアメリカだが主人公を日本人にすることで読者が物語に入りやすくなっている。また、主要人物の殆どが女性なので男性誌の漫画だが女性でも読みやすい(たぶん…)。セクシーな場面も多く、女性キャラが皆美形揃いだが、クセのある画なので取っ付き難い人もいるかも。

砂の薔薇
もちろん爆弾の解体もします。

こんな美人さん達でもテロリストに対しては情け容赦ない。躊躇なく殺す・・・。 主人公を含めた主力メンバー達は何度も死にかけるがかろうじて生き残り、「おいおい、どこまで強運なんだこいつらは?」と言いたくなるくらいご都合主義な場面も多々あるが、そんなことは気にならなくなる程のスピード感のあるアクションシーンとテロリストとの知恵対決が見ものだ。

 

 

 

 

 

■こんなの↓が好きな人におススメ・・・ ・

  • ドンパチ軍事物
  • 派手なアクション、カーチェイス
  • シリアス、ギャグ、痛快アクションのバランスが良い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■ここからネタバレ含むレビュー

友人の彼女(なぜ・・・)に勧められて読んだ時に物凄くハマって一気に全巻読破してしまった懐かしの漫画。元々『強い女』像が好きな私は、この手の設定は大好物。特に一番人間味があるクールなヘルガが好き。もっとヘルガに活躍させて欲しかった。

砂の薔薇

ヘルガが殺す時の顔は怖いw

主人公のマリーは国籍がアメリカで忠誠心もアメリカ合衆国にあると公言しているが、大和撫子の気品を失っておらず、奥ゆかしさがあり上品だ(そもそもマリーは実家が代官山にあるお嬢様という設定)。『黒い宴』では長野オリンピックのテロ対策を日本の警察に指導するという名目で来日するが、マリーがとても日本人らしく身近に感じた。

砂の薔薇

長野オリンピックのテロ対策。この頃から、テロの脅威は存在していた。

 

この漫画のスゴイ所は、“老若男女平等に死ぬ”という点。子どもも容赦ない。もちろん現実でもテロの脅威は誰にでもあるわけだから当然だろう。でも、私が作者だったら子どもが死ぬシーンは描けないな・・・

砂の薔薇

子どもも犠牲になります・・・

個人的に好きなエピソードをいくつかご紹介。

ブラッド・ブライダル・・・ヘルガの過去回想編。
まだドイツが東西分裂していた頃、東ドイツ側にいたヘルガが米国人男性と結婚することになったがその結婚相手は西側のスパイ疑惑がかかり銃殺される。すでに子どもを身ごもっていたヘルガだったが国境を強行突破して西側に亡命。しかし子どもは流産してしまった。という悲しい話。ドイツが東西分裂していたなんてそんな昔のことではないんだなぁと改めて認識させられた。当時の時代背景にうまく絡めたと思う。最後に密告したと思われる友人と再開するのはいくらなんでも出来すぎだけど・・・。

紅い夜・・・キム初登場。新兵訓練の話。トラウマを抱えながらどこか投げやりな状態で入隊してきたキムだが、子どもを人質にとったテロリストとの直接対決で見事な機転を利かせて子どもを救出。マリーの部隊に配属される。という話。キムが新兵訓練を通して成長し、マリーに心を開いていく過程が読んでいて面白かったし、クライマックスでキム本来の実力が発揮されたのもよかった。

赤い星のガリル・・・世界同時爆弾テロをそれぞれの都市の爆弾処理班が解体に挑む。ジェシカの活躍と過去が明らかになる話。ハリウッド映画のようなハラハラする内容で、常に死と隣り合わせの爆弾処理という仕事の過酷さを知った。でもオチは爆弾の中身の火薬を小麦粉と入れ替えて(重さが変わると爆発する仕組みになっていたから、小麦粉で重さを調節した)起爆させても大丈夫、みたいな・・・。これで解決するならジェシカの立場は一体・・・笑

逃亡者の王冠 ・・・バウンティハンター(賞金稼ぎ)のマージがもうすぐ莫大な遺産を相続することになるであろう娘がCATに入ったので、その子の誕生日が来るまで守って欲しいという依頼を受けてCATに入る。ミッションを通して二人は仲良くなり最後は一緒に除隊して新たな夢を追うという話。いつもはCATの主要メンバーに絡めた話が多かったので、ゲストの二人にスポットが当たったので、CATを別の角度から見れたのも良かった。

他にも好きなエピソードはあるけれど、とりあえずこの4つ。どの話も気分が良いハッピーエンドだった。 1つ残念なのが、なぜかデラ(デライラ)だけが個人的なエピソードが何もないこと。他の主要メンバーは全員、メインになっている話があるんだけどね。デラなんて元モデルなんだからすごいバックグラウンドがありそうだけど・・・。できれば追加でデラの話を描いて欲しい。

かなりお気に入りの漫画だけど・・・ラストが納得いかない!夫と愛息子を殺したにっくきテロリスト、グリフォン!実はその夫だったよ!空港で死んだのは替え玉だよん。・・・・・え?・・・なんじゃそりゃ・・・。なんだろこの展開・・・打ち切り?と勘ぐってしまうような酷い最終回だった。

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